宝くじの期待値とサンクトペテルブルクのパラドックス
1等・前後賞合わせて7億円!
今年もまた、サマージャンボ宝くじの季節がやってきましたね。それにしても、最近の宝くじってバブリーですよね。7億円って。まさに一獲千金って感じです。
私が子供の頃は1等6,000万円、前後賞各2,000万円で、合わせて1億円でした。それでも、億という響きが異次元で「宝くじってすげー!夢が広がる!」と、誰でもはしゃいでいたものです。
ただ、現実は厳しいものです。宝くじは基本的に当たりません。(10枚買えば300円は当たりますが…)期待値を計算してみればすぐにわかります。宝くじが「数学ができない人に課せられた税金」と言われるゆえんです。
宝くじの期待値はたったの143円
当たらないとしても、夢を見るために買うという人もいます。それが正しい宝くじの楽しみ方でしょう。本気で当てに行こうとしても損をするだけです。
なぜって、1枚300円の宝くじの期待値は143円だからです。昔読んだ本に詳細な計算が載っていたし、誰かしら同じような計算をしているはずなので、気になる方は調べてみてください。
期待値とは1枚当たりの平均リターンのことなので、つまりは宝くじは1枚購入するごとに157円ずつ損をするという素敵な設計がされているわけです。これでは、数学脳な人には買えないですね。
宝くじはまさに「夢を買う」という言葉が似合う商品ですが、数学脳な人でもためらってしまう事例もあります。サンクトペテルブルグのパラドックスと呼ばれるものです。
サンクトペテルブルクのパラドックスとは
(写真はWikitravelより)
数学が好きな人、特に確率やら期待値が好きな人なら聞いたことがあるかもしれません。サンクトペテルブルクのパラドックスを簡単に説明したのが次のようなゲームです。
1.コインを投げます。
2.表が出た場合は2円ゲット。
裏が出た場合はもう一度コインを投げます。
3.2投目で表が出た場合は4円ゲット。
裏が出た場合はもう一度コインを投げます。
4.3投目で表が出た場合は8円ゲット。
裏が出た場合はもう一度コインを投げます。
5.4投目で表が出た場合は16円ゲット。
裏が出た場合はもう一度コインを投げます。
6.5投目で表が(ry
というゲームがあるとします。
つまりは、表が出るまでコインを投げ続けるだけのゲームで、裏が出ているうちは投げ続ける。表が出れば終了で、表が出たのがn投目だとすると、2のn乗の賞金がもらえるというもの。
例えば、9回連続で裏、10投目で表が出た場合は、2の10乗=1,024円の賞金がもらえるということです。
前振りが長くなりました。
さて、問題です。
このゲームの参加費がいくらだったらあなたは挑戦しますか?
500円? 100円? それとも50円?
もうお分かりでしょうが、期待値の問題です。参加費が期待値以下だったら参加する価値がありますよね。
気になる期待値は ∞ です。無限大ですよ、無限大。つまり、このゲームはいくら払ってでも参加するべきだということです。参加費が1万円だろうが、1億円だろうが参加するべきなんです。…数学的に考えれば。
面白いですよね。理論上はそうなるとわかっても、直感では参加費1万円でも参加する気にはなれないゲームです。正しい値と直感との間に大きな違いがあるから、パラドックスと呼ばれてるんでしょう。
まとめ
「宝くじなんて馬鹿が買うものだぜ、だって期待値で考えたら(ry」とか言ってる人がいたら、コイン投げゲームを勧めてみてください。数学が得意な彼なら、きっと1億円払ってでも参加してくれますから。